こんなところでも新自由主義の凶悪な牙の犠牲が(三幸製菓の火災事故について)

 タイトルの通り、三幸製菓の火災事故について。事故自体については大きく報道されているので、それについては、ここではリンクを貼る等もしない。しかし、少し情報が遅くないか?とは感じていた。けれども、それは、この事故に感じた違和感から辿っていけば、その理由も推測でき、やはりその通りなのだろうなと思う。

 

 この記事を見た時、ツイッター等の反応で散見されるのと同じように、私も、ああ、あの馴染みの商品を作っている会社が…、早く事故から復帰できるとよいな、積極的に買おうかな…と思ったりした。けれども、引っかかったのが、事故の犠牲になった、現時点で5人ないし6人のうち、4人が、高齢の「アルバイト」清掃員であるということだ。それも深夜の時間帯に…。ああ、こんな時間帯にこうした人たちが働いていたのか…。事情は分からないが、あの馴染みのある商品の生産の現場には、そういう実態もあるのか…と思った。そして、少しググってみて見つけたのが次の記事だ。

 

www.niigata-nippo.co.jp

 

 記事をそのまますべて引用する。

 

過去に同じ工場で火災8件
死亡の4人、入り口近くで発見
2022/2/12 18:42(最終更新: 2022/2/13 9:23)

 新潟県村上市の米菓製造大手「三幸製菓」の荒川工場から出火、5人が死亡した火災で、荒川工場では1988~2019年に8件の火災が発生していたことが12日、消防への取材で分かった。11日夜からの火災で死亡が確認された女性アルバイト従業員4人は全焼した製造棟1階の出入り口付近で、身元不明の1人はさらに奥で、発見されたことも判明した。

 消防によると、荒川工場では過去に8件の部分焼やぼやが発生。このうち19年11月には製造工程の乾燥機が焼損した。機械内部に堆積した煎餅のかすが熱せられたため出火したとみられている。

 県警によると、今回の火災では複数ある製造棟の一つが全焼。鉄骨がむき出しで倒壊の危険があり、安全確認の上で13日朝から安否不明者を捜索し、実況見分し火災原因を調べる。製造工程を担当する20代男性社員2人と連絡が取れず、遺体1人の身元確認を急ぐ。

 県警などによると、全焼した製造棟は敷地の最も南側に位置し、菓子の生地をこねたり焼いたりする施設。地上2階建てで、「F棟」などと呼ばれている。当時は操業中で三十数人の従業員がいたとみられる。

 出火時に工場内にいたというアルバイト女性は「煎餅の焼き場で火が出たみたいだという話を仲間から聞いた」と話した。「(製品を焼く)網目の下に煎餅のかすか何かが落ちて燃え広がったとの話も出ている」としたが、県警などは出火原因を特定するため、工場関係者から広く聞き取りを進める。

 三幸製菓を巡っては、20年5月に新潟市内の「新崎第3工場」で乾燥機付近を焼く火災が発生。19年7月には新潟市内の「新崎第2工場」で屋根を焼く火災があった。

 火災は11日深夜に発生。村上市の71歳女性と、いずれも新潟県胎内市の68歳女性、70歳女性、73歳女性の4人が心肺停止状態で搬送され、死亡が確認された。4人は夜から朝までの勤務で清掃アルバイトをしていた。安否不明者とは別の社員1人も煙を吸って搬送された。

 三幸製菓の担当者は12日、電話取材に「この度は大変申し訳ありません」と謝罪した。

 

 これは人災だ。私たちの馴染みの商品の製造の裏にはこういう実態がある。企業の利潤追求、合理化のためには、そこで働く人の安全や生活を軽視しても構わない。その帰結としての人命軽視であり、懸命に生きている人たちの尊い命の犠牲である。そして、こんな業態を維持するために必要なのが、このような実態の下で懸命に生きなければならない人たちの存在だ。地方に住んでいれば、それはアパートで相部屋暮らしをする外国人技能実習生たちでもあることに気づくのは容易だ。いや、地方でなくても気づけるのかな。

 

 これは、新自由主義の凶悪な牙による犠牲だ。私たちは、この企業の作る馴染みのある商品を目にする時、いや、web上を含め店頭に並ぶあらゆる商品を目にする時、企業を応援しようと思うのではなく、格差を前提に商品が生産され、それがさらに格差を拡大させる、この現状を打破し、新しい世界を目指そうと思わなければならない。