財政を家計に例えるなら…

 ブログを始めることにしました。
 さっそくですが、財政を家計に例えるなら…というのを、私なりに考えてみました。財政を家計に例えるなら…というのは、朝日新聞の十八番なんですが、いつも何だかなあと思うので、対抗して考えてみました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 ある大家族がいます。この大家族は、家族みんなを働きやすくしたり、安心して暮らせるようにしたりするための仕組みをつくっています。この仕組みにお金がいるので、みんなでお金を出しあうことにしています。

 この大家族のみんなには、お金になる仕事とあまりお金にならない仕事が割り当てられることになっています。でも、家族のみんなは、それは仕方がないと考えています。だって、頑張る人がお金になる仕事をするようにすれば、みんな頑張るもんね。
 それで、この大家族には、とてもお金持ちな人と、生活が苦しい人がいます。なかには、借金をしている人もいます。

 さて、この大家族に大問題が発生しました。家族のための仕組のお金が足りなくなったのです。というか、大借金です。だから、「出しあうお金をもっと増やして、借金をなくそう」と主張する人が出てきました。「自分たちが生きている間に借金を返さないと、無責任だ」という人もいます。

 ところで、この大家族は借金まみれなのかというと、世界でも稀なお金持ち家族です。
 え? でも、大借金なんでしょって? いえいえ、家族のための仕組みが、大借金なだけです。
 言っている意味が分からないって? う〜ん、つまり、家族の仕組みのために、家族のなかのお金持ちの人に、お金を借りているんです。利子付きで。家族全体では、世界でも稀なお金持ちです。

 じゃあ、もう借金をちゃらにすればって? 家族でしょって? お金持ちの人は家族のための仕組みのおかげでお金持ちなんでしょって?
 そうですね。それもいいかもしれませんね。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 ご意見くださいませ。

そもそも

 今、財政危機とか金融危機とか騒がれているけど、そもそも、財の生産やサービスの提供が止まったり減らなければ、本当は問題ないはずなんだよね。で、本当は、お金とか金融とかなくても資源と労働力さえあれば、うまく工夫すれば、財の生産やサービスの提供は止まることも減ることもないんじゃないかな? どうなのかな?
 これって、資本主義とかそういう問題なんだろうね。これぞ経済の問題!なんだろうね。

スポーツについて思うこと

 スポーツが規範と結び付くのって、すごく危険だと思う。
 スポーツって、現実の中に、ある意味バーチャルな世界を作り出して、現実では体験できない(あるいは体験できてはならない)ものを、体験できるっていう側面があると思う。 へたに現実の中で体験できるから、そこで体験できるようなことこそ、真実、価値あるもの、みたいにとらえて、そこに必要な態度・規範を、本来の現実世界に持ち込み、周りをまき込んでいくような人たちっていると思うけど、危ないと思う。

 どういうことかというと、まず、スポーツって、勝ち負けをはっきりさせるとか、敵味方を分けるとか、ルールをはっきりさせるとか、複雑でいろいろな事情のある現実の社会では、そんなにすっきりさせられないことをすっきりさせた、仮想の現実の上に成り立っているって側面があるということ。
 それから、勝利や記録など、目標を所与のものとして、その目標に対して自己を合理的に管理する態度を育む側面があるということ。 これは、「そもそもなんのため?」と問う態度が育まれていないと、案外けっこう危険だと思う。…自分だけでなく他人にも、「○○のためだろ!」と要求するようなことにもなるし。 将来、社会人になって、「会社のため」とか言って、それを社会のみんながやって、社会主義のいう資本の論理による人間疎外、みたいなことにつながる面もあると思う。…勝ち負け思考とか、敵味方思考が広がっていると、なおさら。
 ちなみに、スポーツって、とくに部活が頭にあるのだけれど、部活って、レベルがあがってくると、家族とかまでまきこんで、みんなであらゆる条件を整えて、部活だけに専念!みたいになってくる。多分、体育会系が就職で喜ばれる(まだそうなのかな?)ってのは、その、部活だけに専念!ってのを、仕事だけに専念!ってしてもらえればよい、という理由もあると思う。
 それから、日本の教育現場では、なんだかんだ言って部活が重要で、とくにいわゆる成績的に中間層以下の真面目な子たちの人間形成が、なんだかんだ言ってかなり部活でされているようにみえる。
 それから、日本では、部活や学校行事などで感動したり一体感を味わったりして、それを求めて教師をめざす子が多いから(別にそれ自体は悪いことではないけどね)、けっこう、勝ち負け思考や敵味方思考を無邪気に広げる超熱心な(自分の家庭をまったく顧みないほど超熱心な)先生が多いような気がする。…で、けっこう、こういう先生の態度は、将来先生になる愛弟子に、再生産される。
 それから、そういう人たちって、おうおうにして「プライド」にこだわる。…自称「練習だけは日本一」の部活が全国に大量にあるのは、ある意味その一例。なんか、自分たちがすごくないといけないんだよね。で、おうおうにして、他の人たちを見下すんだよね。

 ちなみに部活だけじゃない。進学校の先生は、自分の生徒が他の生徒に勝って志望校に合格して一緒に感動することをめざすし、実業校の先生は、自分の生徒が他の生徒に勝って就職を勝ちとって一緒に感動することをめざす。けっこう、自分の生徒だけに、スペシャルな、ほんといろんな意味でスペシャルな、方法を工夫しようとしたりしてまで。で、この子が喜ぶ分、泣く子もいるとか、あんまり考えないし、世の中全体として、どういう子がどういうところに本来行くべきかとか、あんまり考えない。これもスポーツ的な勝ち負け思考、敵味方思考じゃないかな、と思う。

 もちろん、これらは極端なモデルを描き出しただけだけどね。

 あと、それから、最近は、巨大スポーツの応援の非日常的な体験に昂揚感を見出して、その感覚を他の場面にも求めたがる人も多い気がするし。

新自由主義は人権、真理、正義を目の敵にする

 昨今の政治状況を見ながら、端的に書き記して置いた方がよいと思ったので。

 

 新自由主義は人権、真理、正義を目の敵にする。それは、新自由主義は、カネとコネと何なら暴力でやったもん勝ちの世界を理想とするからだ。それらの足かせとなるのが、人びとが、正義…それは一言で言えば、人権を尊重することだ…と真理に依拠して行動しようとすることだ。今、新自由主義の奴隷たちが、「お気持ち」を梃子に、人権や真理や正義を追及しようとする人たちに対して、様々な形で攻撃を加えている。それが今の政治状況だ。

「国民案なら減税7.6兆円」関連のブコメのまとめ

 「手取りを増やす」を掲げたことがうけたのか、はたまた「きれいで公平で効率の良い」自己責任社会を目指す人たちの自民批判票の受け皿となったのか、衆院選で民民が躍進し、その実現を目指す政策、とりわけ「年収の壁」の引き上げが注目を集めている。私は民民など、衆院選直前の玉木の「尊厳死で医療費削減」発言に代表される、まごうことなき新自由主義政党としか認識していないので、民民が影響力を持つことは何にしろ、ろくでもないことだと考えている。なので、この議論にあまり関心を持たず流していたが、最近、私が特に苛立ちを感じる反「サヨク」な連中が、この議論でもまたいつものサヨクガーを始めたので、遅ればせながら、関連する記事にブコメをつけた。しかしながら、この手の話は、やはり100字という字数制限には向かない。そこで、それらをまとめるとともに、少し補足したいと思う。

 

 まず、一番初めにブコメをつけた記事から。

www.47news.jp

これには次のブコメをつけた。

国民案なら減税7.6兆円 「年収の壁」で政府試算

減税率で見ろとか、納税額見ろとかで高額所得者への減税を正当化するコメが多いが、そもそも、高額所得者と低額所得者の仕事と生活を見ろ。そこに資本主義に累進課税が必要な理由がある。/減税真理教徒の多いこと。

2024/11/01 01:32

b.hatena.ne.jp

この前段は、次のようなブコメを批判する意図で書いたものだ。

国民案なら減税7.6兆円 「年収の壁」で政府試算

年収2300万円だと所得税住民税合わせて670万円くらい。年収500万だとだいたい40万円弱。600万円以上多く納税してる人に25万円程度減税額が高いからって高所得者が優遇されてるとは思えないね

2024/10/31 12:55

b.hatena.ne.jp

国民案なら減税7.6兆円 「年収の壁」で政府試算

高所得者はすでに累進課税されてる。税率が高いから同額の控除でも減税額が変わるって事じゃないの?さすがにこれで高所得者を叩くのは乞食根性が強すぎるだろ。

2024/10/31 14:41

b.hatena.ne.jp

国民案なら減税7.6兆円 「年収の壁」で政府試算

この数字を「高所得者ほど効果が大きい」って表現するのしっくりこない。割合でみれば、400万で4.2%なのに対して2300万では1.6%だぞ

2024/10/31 15:36

b.hatena.ne.jp

これらのブコメは、記事中の次の箇所に反発したものだろう。

納税者にとっては減税となり、税金が高い高所得者ほど効果が大きいとの試算も判明。納税者の手取りが増える恩恵の一方、公平感や税収減を補う財源などを巡り議論を呼びそうだ。

たしかに、今急に、政府が「基礎控除引き上げは高所得者優遇」などと言い始めるのは税収減を避ける「ためにする議論」の感は否めない。しかしながら、基礎控除引き上げだけを取り上げるからそのような議論になるだけで、これを受けて、累進性の強化などとあわせて議論すればよいだけだ。しかるに、格差拡大、カネやコネを持つ者による搾取――それこそが資本主義の弊害だ――こそが問題となっている中で、生活にあえぐ人たちを横目に、「乞食根性」「25万円程度」とは、どれだけ高所得者の強欲に寄り添えば、それを自己内面化すれば、気が済むのか。今現在、玉木が掲げたこの政策を支持する人たちが、まごうことなき新自由主義者であることがよく分かる。「サヨク」が玉木の政策と自公政権の政策との悪魔合体をを危惧するのは当然だ。

 

 私のブコメの末尾、「減税真理教徒の多いこと」については、次のトップ2・3のブコメや、他のたくさんのブコメを見てのものだ。

国民案なら減税7.6兆円 「年収の壁」で政府試算

こんなんすぐ回収できるって。給付は貯金に回る可能性はあるけど控除は会社員は源泉徴収なんだから減税分はそのまま経済に回って消費税税収とか増えて国に帰ってくる。経済に回ることが重要/控除は累進じゃないよ

2024/10/31 11:51

b.hatena.ne.jp

国民案なら減税7.6兆円 「年収の壁」で政府試算

年収の壁を突破するだけでこんな減税効果があるのすごいじゃないか。実質減税政策だ。いますぐやったらいい。高所得者ほど減税になる点については累進度をあげていけばいい

2024/10/31 11:41

b.hatena.ne.jp

とはいえ、この2つのブコメは、1つ目のものは「減税分は経済に回って消費税収で回収できる」、2つ目のもは減税に喝采を送っているとはいえ「高所得者は累進度をあげればいい」なので、単純な「減税真理教」として批判すべきものではない。とくに1つ目のものは、むしろ、市場原理万能論=規制緩和派として批判すべきだろう。こうした立場に対しては、次の記事にそれを批判するブコメをつけた。なお、この記事は上の記事と全く同じもので、こちらが共同で上が時事なので、こちらが元記事だろう。

nordot.app

私がつけたブコメは次のもの。

国民案なら減税7.6兆円 「年収の壁」で政府試算 | 共同通信

トップ※ 働く人が増えるから税収増というのは、国民の全給与所得が増えることが前提。経営側はそのコスト払うのか? 買い叩くだけじゃない? さもなくば、エッセンシャルワーカーの待遇改善とっくに進んでるだろ。

2024/11/01 07:20

b.hatena.ne.jp

「トップ※」とは、次のものだ。

国民案なら減税7.6兆円 「年収の壁」で政府試算 | 共同通信

おかしい。103万円で働くことを打ち止めしているのが問題であり、この人達だけ考えれば税率が変われば働く時間が増え、その分の税収は増える。日本全体でどう変化するかの議論をすべき。

2024/10/31 07:18

b.hatena.ne.jp

働こうとする人が増えたら働ける場が増えて、日本全体の給与所得が増えるのか? そんなお気楽な話じゃないだろう。100字に収める便宜上「トップ※」だけを名指ししたが、上位コメントには同様のものが並んでいる。次のようなものだ。

国民案なら減税7.6兆円 「年収の壁」で政府試算 | 共同通信

年収の壁手前で仕事量を調整してる人達の存在を一切考慮してないよね。財務省あたりの仕事なんだろうけど、さすがに雑すぎへんか

2024/10/31 07:51

b.hatena.ne.jp

国民案なら減税7.6兆円 「年収の壁」で政府試算 | 共同通信

それ以上に働き始める、働く時間を長くする方々が出てきて究極消費税収なども増えるので相殺できるように思えます。

2024/10/31 06:54

b.hatena.ne.jp

これらが500近くもついたブコメのトップ3か。こういうのこそ、どんだけお花畑なのかよ、だろ。やれやれだ。

 

 もう一つ、次の記事にもブコメをつけた。

mainichi.jp

私がつけたブコメは次のもの。

「年収103万円の壁」解消で年7兆~8兆円減収 官房長官見解 | 毎日新聞

このコメント欄見ると、なんか、もう、何のために政府があるのかよく分からないな。いや、搾取天国のためなんだろうけど。

2024/11/01 01:46

b.hatena.ne.jp

これは、次のようなブコメが目についたことによる。

「年収103万円の壁」解消で年7兆~8兆円減収 官房長官見解 | 毎日新聞

国民が主権者なので、税収減を政府が嘆くだなんて、憲法も国家も理解してないバカなんじゃないの?なんで政治家やってんの?

2024/10/31 19:43

b.hatena.ne.jp

「年収103万円の壁」解消で年7兆~8兆円減収 官房長官見解 | 毎日新聞

税収が減っても、国の予算編成と執行には何ら障害はない。税が国家予算の財源ってのは単純な間違いだよ。財務官僚は出世のためにそうミスリードしたいだろうけど。

2024/10/31 18:36

b.hatena.ne.jp

「年収103万円の壁」解消で年7兆~8兆円減収 官房長官見解 | 毎日新聞

自民が議席を減らしたときに減税できる、という成功体験を国民が味わうのは良いこと。

2024/10/31 18:32

b.hatena.ne.jp

こういう人たちに支持されるのが、玉木の「基礎控除引き上げ」だということだ。トップ1・2コメも、次のように上で批判したものと同じタイプのもの、減税真理教や市場原理万能論の要素が強いものだ。

「年収103万円の壁」解消で年7兆~8兆円減収 官房長官見解 | 毎日新聞

つまり年7〜8兆円給付するのと同じぐらい効果がある施策ってことか。働く世代の国民の収入が増えればそれだけ消費が伸びることも期待できるし、労働時間のキャップも外れて収入も増える。好循環になるといいね。

2024/10/31 18:29

b.hatena.ne.jp

「年収103万円の壁」解消で年7兆~8兆円減収 官房長官見解 | 毎日新聞

年収の壁を前に働くのを手控えていた人たちがもっと働くようになれば、所得税が増えるだろうし、何より家計の収入が増えて経済全体にお金が回る。消費税収も増える。そもそも長年据え置かれていたのがおかしい。

2024/10/31 17:51

b.hatena.ne.jp

 

 繰り返しになるが、何にせよ、この「基礎控除の引き上げ」は、それだけを取って議論すべきものではない。しかるに今、それだけを手柄にするために自公と悪魔合体しようとしているのが「尊厳死で医療費削減」の玉木であり、それを支持するのがこういう人たちだということに、警戒が必要なのは当然のことだ。

今こそ財政の所得再分配機能と自動安定化装置(ビルトイン・スタビライザー)の修復・強化の議論を

 岸田首相の退陣表明前夜に、次の施策が少し話題になった。

www3.nhk.or.jp

この施策に対して、総裁選や総選挙を念頭に置いた人気取りだという批判が噴出したが、私も同意する。まさに、政権が特別に恩恵を与えることを、恩着せがましく強調するような施策であった。しかし、これは、手法があまりにも露骨で反感を買うものだっただけで、特別な給付や減税が政権の人気取りに利用されることは、近年では、べつに特別なことではない。

 

 けれども、これは、望ましい財政のあり方ではない。それを説明するキーワードとなるのが、財政の所得再分配機能と自動安定化装置(ビルトイン・スタビライザー)だ。まず、改めて、所得再分配機能とビルトイン・スタビライザーについて確認する。ここではあえてネットからの引用はせず、カシオの電子辞書に収録されている山川出版社『政治・経済用語集』から引用する。学術的にも異論の少ない基本的な用法を確認したいからだ。

 

所得再分配

財政は,所得を再分配して,所得の平等化に役立つということ。所得税累進課税制度と,低所得者に対する医療・年金などの社会保障相続税による財産所得の平等化などによって,所得の再分配の役割を果たす。財政の機能の一つで,所得再分配機能⑩ともいう。

 

ビルト=イン=スタビライザー(自動安定化装置)⑰
built-in stabilizer 累進(るいしん)課税制度や社会保障制度を組み入れておくと,財政が自動的に景気を調節する機能をもつこと。財政の自動安定化装置ともいう。具体的には,景気が後退して国民の所得が減ると,税率が下がるため可処分(かしょぶん)所得はゆるやかにしか減少せず,社会保障制度によって給付などを受け取る人が増えるから,景気の急速な後退が避けられる。景気の拡大期には,所得の増加にともなって税率が上がり可処分所得はゆるやかにしか増大せず,給付などを受け取る人は少なくなるから,景気の過熱が抑制される。

 

 ご存知だと思うが、見出しの後の丸数字は、この用語を取り上げている高校教科書数を記したものだ。参考までに、どの教科書にも登場しているであろう「日本国憲法」を引くと、⑰と記されている。これらが学習必須用語であることが分かる。

 

 さて、特別な給付や減税は、主に困窮者救済や景気対策を名目に行われる。しかし、所得再分配の項にあるように、そもそも財政は、累進課税制度や相続税などで得られる財源をもとに、低所得者社会保障を行うものだ。また、自動安定化装置の項にあるように、累進課税制度や社会保障制度などによって、自動的に景気を調節するものだ。よって、特別な給付や減税による困窮者救済や景気対策が求められる状況というのは、財政が機能不全を起こしている状況なのだ。もちろんそれは、リーマンショックウクライナ危機などのような非常事態に多くの原因がある。

 

 しかし、「失われた30年」の間に行われた「財政改革」に目を向けると、それだけが原因ではなく、政府が積極的にこの財政本来の機能を失わせてきたことも原因であることが分かる。この間に、政府は、累進課税緩和や資産課税減税、社会保障の切り捨てを行なってきたからだ。ここから、現在、当然のように行われている特別な給付や減税は、政府が財政本来の機能を破壊したことの当然の帰結として必要になったものだといえる。それを政権の人気取りに利用するのは、まさにマッチポンプで、ろくでもない風潮だ。

 

 ここで、今、立憲民主党の代表選と自民党の総裁選が注目を集めているが、そこでの議論を、この風潮を改める契機とすることができないか。そうした観点から焦点を当てたいのが、まず、立民の枝野幸男が代表選立候補表明に際して掲げた政策だ。

www3.nhk.or.jp

www.tokyo-np.co.jp

 

 枝野の政策について、NHKの記事には、

消費税5%分の実質的な減税策として、中間層までを対象にした「給付付き税額控除」を創設することを打ち出しました

とあり、東京新聞には、

所得税などの累進性を強化すると訴えた一方、消費税減税には踏み込まなかった

とある。NHKの記事にある「給付付き税額控除」は、具体的な方法は語られていないが、何らかの形で、中間層の所得税などの税額を控除するとともに、低所得者には給付を行うものだろう。緊急時の特別措置としてではなく、平時から制度として低所得者に給付を行うものになるのではないか。そうだとすると、財政本来の機能を回復させる性格の政策になる。低所得者への給付は、本来なら、生活保護の拡充こそが求められるが、残念ながら、現在、それは、「水際対策」や「スティグマ」などの問題により、困窮者をもれなく機敏に救済するものとは程遠いものになってしまっている。よって、それを補助し、財政本来の機能を回復させるものとして、この「給付付き税額控除」は議論する価値のあるものだと考える。東京新聞にある「所得税などの累進性を強化する」ことは、ストレートに「失われた30年」の間に破壊された財政本来のあり方を修復するものだ。

 

 実は、枝野が掲げたこれらの政策は、立憲民主党として新しいものではない。次の2023年11月の時事通信の記事は、立民がこれらを含む政策を、次期衆院選公約の原案として発表したことを報じている。

www.jiji.com

しかし、当時、立民がこうした発表をした印象は薄い。今、枝野に注目が集まったことを好機として、改めて、こうした方向での政策の競い合いを盛り上げていくことが求められる。*1

 

 一方、自民党の総裁選では、金融所得課税の強化が争点の一つとして浮上している。

www.asahi.com

これも、ストレートに「失われた30年」の間に破壊された財政本来のあり方を修復するもので、こうした方向での政策の競い合いを盛り上げていくことが求められるものだ。しかし、自民党には、岸田文雄が首相になる前に総裁選でこれを掲げたものの、首相になるとすぐに取り下げた過去がある。

www.asahi.com

金融所得課税強化の議論を盛り上げていくこととあわせて、自民党がそれを拒んできたことを、必ず確認していかなければならない。

 

 まとめになるが、立憲民主党の代表選と自民党の総裁選を好機として、今こそ、財政の所得再分配機能と自動安定化装置(ビルトイン・スタビライザー)の修復・強化の議論を盛り上げることが求められる。

*1:この記事の執筆中に、野田佳彦も給付付き税額控除を政策として掲げたことが報じられたことを付記しておく。

www3.nhk.or.jp

「『「お前のは誹謗中傷!私のは正義の批判!』って奴、相当認知が歪んでないと出ないでしょ」と言う人こそ「正義の暴走」をする

 この記事を書くことにしたのは、次のように、私を名指したタイトルの記事を書かれ、さらにそれに少なくないブックマークがついたからだ。

 

shiori115.hatenablog.com

 

 まずはこの記事の筆者Shiori115なる人物を、私がどのような人物ととらえているかを書きたい。それがことの経緯の説明にもなるだろう。

 

 私は次の記事のブコメ欄で、はじめてこの人物をはっきりと認識した。

 

koshian.hateblo.jp

 

 私自身は、この記事に次のブコメをつけた。

 

suterakuso "「反差別」を掲げるような人に限って差別的な言動を止めないという現象は割とよく見る"←虎を屏風から出して下さいw/動物の幸福追求権考えると差別は程度問題と分かるw/アファーマティブアクションは不公正w

 

 この記事は、川口市議会でクルド人に対する差別的な意見書が可決されたことに関連があるものだ。この意見書に賛成した立民市議を米山隆一が擁護し、それを主に「リベラル」や「左派」とされる人たちが批判している。この記事は、雑に要約すると、「動物の幸福追求権」という思考実験を用いたり、サンデルやドラッガーを引用したりして、米山隆一を擁護しようとするものである。私は、上のブコメのとおり、この記事の主張はおかしいと考えるが、ここでは、それには深入りしない。今から取り上げる人物との関連では、上のブコメにも引用しているが、記事の冒頭に、次のように書かれていることがポイントとなる。

 

「反差別」を掲げるような人に限って差別的な言動を止めないという現象は割とよく見る。

 

これを見て私は、また「正義の暴走ガー」かと思ったのだ。差別を前に、繰り返し同じことを言うことを止めない人は当然いるだろう。強い言葉や罵倒表現を用いる人も当然いるだろう。っで、差別って、それでしょ? それ、 差別ですか?と。

 

 さて、ここで、この記事に件の人物が次のようにブコメをつけた。

 

Shiori115 "「反差別」を掲げるような人に限って差別的な言動を止めないという現象は割とよく見る" 「暇アノン」だの「壺」だのの根拠ゼロのレッテル貼りも平気でしますからね。そういうのが既にここにも湧いてきてますが。

 

 これを見て、私は、自分のブコメに次のタグを付け足した。(コメント自体は100字に達しているので、ブコメでしか書く手段がないからだ。最近は、この方法をよく用いている。ちなみにタグは10文字しか書けない。個数は10個まで付けることができる。)

 

暇アノン壺根拠ゼロw

 

いちおう説明すると、暇アノンとか壺とかは、なぜそのレッテルがつけられるのかが分かりやすく、誤認も少ないものの代表だろう。それに根拠ゼロとは、随分、その言葉を用いる人たちへの敵対心が強く、また、客観的な認識ができない人だなと思った。あるいは、とりあえず敵認定した相手を貶めることができれば、自分の主張の正確さなど気にしない人なのだろうなと。もちろん、その言葉を用いる人たちへの敵対心が強いのだから、反フェミで反ポリコレ、反リベラルで反サヨクなのだろう。

 

 この後、以下の順で、この人物のブコメを目にしてきた。記事の埋め込みリンク、この人物のブコメ、私のブコメの順で示していく。

 

www.sankei.com

Shiori115 女性の隣人の騒音が酷くて迷惑していたとしても騒音被害を訴えることと女性差別が違うのは当たり前。川口の現地で迷惑を被った人にとってはそれがクルド人だっただけで、差別問題にすり替えるのは卑劣なだけだね。

suterakuso そもそも産経の<独自>記事に書かれた在日クルド人に不都合な証言をそのまま真に受けるの?/恐れるべきは無能な味方とかよく言う人は、射殺とか国籍剥奪して追い出すのが良いとか言う人が味方でよいのかなー。

 

anond.hatelabo.jp

Shiori115 都知事選での「R」シールぺたぺたや演説妨害に紙屋氏の件で市民連合共産党のヤバさを改めて認識したって感じでしょうか。左翼の先鋭化が顕著。紙屋氏の件では非共産党員のはてサも流石に黙らざるを得なかった。

suterakuso 中道が増えただけ、極右極左キツいのはみんな嫌い、的なのこそ、排除の論理同調圧力でキツい態度だよ。恐ろしいまでの。よくそれに無自覚でいれるね。そして、自民に代表される「保守」にとって好都合な態度だね。

 

news.yahoo.co.jp

Shiori115 私も別にそれぐらいはいいだろうと思うけど、女性政治家を同じように配したポスターを「おばさんの詰め合わせ」と評したらどうなるかを考えれば、批判されるのは仕方ないでしょうね。既に今までそうしてきたものね。

この記事に私がつけたブコメはここでは関係ないブコメに対してつけたものなのでコピペは割愛する。

 

togetter.com

Shiori115 いかにもはてサが好きそうな人だけど、はてブではまだ認知度が低そうですね。はてサの皆さんにはぜひこの機会に覚えておいてほしい逸材ですよ。

suterakuso 昔、赤木智弘氏と喧嘩して、この恩知らずめと言っていた人という印象しかない。/id:Shiori115 いきなり強烈な党派性の自己紹介しなくても…。お勤めご苦労様です的な人かもとまで思いたくなる。

 

togetter.com

Shiori115 フェミニズムという名の性嫌悪・男性嫌悪に脳を焼かれた人間の末路がいかに哀れかよくわかると思います。自分の価値観だけを正義と信じ、そこから外れるものに対して無自覚に差別やヘイトを振りまいてしまう。

suterakuso 奇異な考えの自称すらしてない人をフェミニストガーて言ってるってこと? そりゃ、反フェミって認知歪んでるってことになるよ。id:Shiori115とか。/はて、id:red_kawa5373みたいなの批判する真の保守こそ見ないけどw

 

 ご覧のとおりで、第一印象のとおりの人物だということが確認できる。そして、最後の2つについては、最初に私がこの人物を認識したブコメ

 

根拠ゼロのレッテル貼りも平気でしますからね

 

という言葉が見事なまでのブーメランとなっており、すさまじく卑怯な形で反反差別的な扇動をする人だなと感じた。よって、その扇動を少しでも抑えるべく、idコールをして、直接批判したのだ。

 

 そして、この人物がさらにどんな扇動をするのかとブコメを見ていると、次の記事を書いたことを知らせるセルクマが目に入った。

 

shiori115.hatenablog.com

 

タイトルで名指しされているmusashinotanという人も、やはり、私がはっきりと認識したのは、最初にあげたKoshianX氏の記事のブコメ欄でだと思う。そして、反差別の立場から激しく、差別を正当化する人たちを罵倒する人だなと思っていた。

 

 記事を読みに行くかどうかは読者の判断にお任せするとして、私は、この記事に次のブコメをつけた。

 

suterakuso digits_saという人に対して以外は、レッテルは妥当で、あとは罵倒表現の是非だな。どれも立場や被害妄想を拗らせて頓珍漢なこと言っている人に対してだからね。いや、もっとよい突っ込みあるやろって部分は多いけど。

 

 すると、この人物は、自分のブコメに、次のように、後半部分を付け足した。

 

Shiori115 id:musashinotan によるメタブでの侮辱に関して、必要と思われる情報をまとめました。/ さっそくお仲間がシュバってきた。"立場や被害妄想を拗らせて頓珍漢なこと言っている人" musashinotanのことですね、わかります。

 

 そしてさらに、件の私を名指しした記事を書いたのだ。記事には、私が、musashinotanという人が使ったレッテルや罵倒表現すべてを妥当だと考える、面白い人だという表現がされている。マウント仕草である。しかし、ブコメのとおり、私は、レッテルは妥当と書いたが、罵倒表現については是非が分かれることを含んだ書き方しかしていない。けれども、この人物が、このように人を侮辱し嘲ることを是とする態度を露骨に見せたのを見て、上のブコメに、

 

↑じゃ罵倒も問題なし

 

というタグを付け足した。細かいことで、時系列的に分かりにくいことだが、この人物の卑怯さを確認するために、いちおう記しておく。たった100字のブコメさえ、印象操作のために歪曲したり切り取ったりする人物なのだ。さらに、先にあげたフェミニスト関連のToggeterに私が付けたブコメを取り上げ、suterakusoは、Shiori115がフェミニストを自称していない人にフェミニズムというレッテルをつけたことを、認知が歪んでいると言った、しかし、suterakusoは、Shiori115が自称していないレッテルをShiori115につける、面白い人だ、とも書いている。いや、なぜ「奇異な考えの」という文言がついているか文脈を考えろよ。ほんと卑怯な人間だ。まず、理解力だけの問題ではないだろう。

 

 これを受けて私は、次のブコメをつけた。

 

suterakuso いや、あなたたち、ザ・反フェミ、ザ・差別主義者、ザ・キャンセルガーでしょ。あれのどこが、ザ・フェミ? そういう風に、対称として不適当なものを対称することこそ、まさに頓珍漢。根拠? 根拠だらけじゃん。

 

ちなみに、最初は上のように書いたが、その後、こちらの方がよりしっくりくる表現かなと思い、「ザ・差別主義者」のところは、「ザ・反反差別」に書き換えた。そして、「実質差別主義者てこと」というタグをつけた。タグは、何度も書き直しているが、それをすべて覚えていないし、あまり関係がないので、他にどんな書き換えをしたかは割愛する。ただし、「例:石井孝明に黙まり」というタグを最終的につけていることには触れておきたい。人に根拠ゼロとか卑劣とかヤバいとか言いながら、自分こそ根拠などどうでもよい恐ろしく卑怯な人間であることを端的に示すために。

 

 そして、さらに、自分の言動や、musashinotanという人の罵倒表現、この人物の卑怯さに思いを巡らし、ここは、そもそものことを書く必要があるなと思い、次のタグを付け足した。

 

正義なく人を批判すな

 

私にとっての正義とは、ごく素朴なもので、人権であり、生命だ。人権とは、自由、平等、幸福追求権、個人の尊重などだ。そして、それは、状況を踏まえながら、何がそうなのか、常に自問し続けなければならないものだと考える。それでも、間違った考え方をすることも当然あるとも考える。しかし、人の行為はそれがどのようなものであろうと、必ず、人に、社会に、影響を及ぼす。その責任を考えるならば、やはり、自分のあり方の基準となる正義は何かを自問し続け、その時々に出した答えに基づいて行為しなければならない。まして、他者を批判したり、さらには、目的が何であっても、攻撃したり、侮辱したり、嘲ったりするとなると。別に大したことはない、それだけのことだ。しかし、重要なことだ。

 

 KoshianXという人の記事のところで書いたように、私にとって、「正義の暴走ガー」というのは、うんざりするほど見飽きたと感じる、「リベラル」とか「左派」とか、あるいは「共産党」とかに対する批判だ。よって、このような人物にこのタグのような言葉を提示すると、「出た、正義の暴走ガー」と言い出すことも、当然予想できることだ。それに対して私は、違うよ、それは正義を喪失しただけだよと答えるし、正義とはそんな硬直したものではないよと答えるし、そもそもそれは人権であり、生命であり、それを第一に考えることだよと答えるまでだ。これも、やはり別に大したことではないし、ああ、そのパターンねと思われることだろう。でも、あえてそれを表明し、そういうあり方を示すことは、大切なことだと思う。今回は、特にこのあり方を示す時だと思い、このタグをつけた。

 

 さて、ということで、この人物は、記事に追記を加え、鬼の手を取ったかのようにこのタグを取り上げてはしゃいでいる。そして、私以外にもこの記事を読んだ人が少なからずいるようで、最初に書いたように、少なくないブコメもついている。その中で一番☆を集めているのが、次のブコメである。

 

「お前のは誹謗中傷!私のは正義の批判!」って奴、相当認知が歪んでないと出ないでしょw

 

 これに対して私は、こう返したい。

 

「『「お前のは誹謗中傷!私のは正義の批判!』って奴、相当認知が歪んでないと出ないでしょ」と言う人こそ「正義の暴走」をする。

 

タイトルにした言葉だ。これは、記事の中ほどであげた、『はてなの勢力図が変わってきた?』という増田記事に私がつけたブコメに関係がある。もう一度コピペする。

 

suterakuso 中道が増えただけ、極右極左キツいのはみんな嫌い、的なのこそ、排除の論理同調圧力でキツい態度だよ。恐ろしいまでの。よくそれに無自覚でいれるね。そして、自民に代表される「保守」にとって好都合な態度だね。

 

「自由からの逃走」だ。そうしたあり方から抜け出してほしい。「人間は自由の刑に処せられている」。

人間は自由の刑に処せられている

人間は自由の刑に処せられている