転載 (みをつくし語りつくし)勝部麗子さん:7

 第7回です。まずは登録なしで読めたところまでの転載です。

http://digital.asahi.com/articles/ASJB54SDQJB5PLZU00B.html?rm=998

(追記)この記事を紹介しているページに画像ファイルがあったので、下にそのURLを付け足します。
http://www.access-town.com/image/free/20161027105552.jpg

神田誠司
2016年11月1日11時46分
■コミュニティーソーシャルワーカー
■費用抑えて「リセット」
 豊中市では、ごみ屋敷は「福祉ゴミ処理プロジェクト」と名付けたルールに従って、片付けから運搬、焼却までを行っています。以前は「ごみ屋敷リセットプロジェクト」と言っていました。
 片付けはごみ屋敷の本人、コミュニティーソーシャルワーカーCSW)、住民ボランティアや民生委員らで行います。出たごみは市の環境部の協力で臨時ごみとして収集車が市の焼却場まで運んでくれます。
 費用は40リットルのごみ袋一つが170円です。150袋くらい出ますので、費用負担は2万5千円ほど。片付けから運搬までを民間業者に委託すれば数十万円以上かかりますから、破格に小さな負担ですみます。
 このルールを決めたのが「豊中市ライフセーフティネット」という公民協働の仕組みです。豊中市では2004年にCSWを配置するのに合わせて、「制度のはざま」の問題を解決する仕組みをつくっていました。
 まず住民とCSWが連携して地域の課題を発見する。その課題を共有する場としてCSWが主催する「地域福祉ネットワーク会議」があります。市内を七つのエリアに分け、そのエリアの福祉や介護などの関係者、住民ボランティア、行政担当者らが集まり、どんな取り組みができるかを話し合います。
 さらに市全体で取り組んだ方がいい大きな課題は「ライフセーフティネット総合調整会議」で、市の課長クラスらが解決のためのルールや仕組みづくりを検討します。ひとつの問題に対して、行政機関や団体、住民が協力して解決の仕組みをつくりあげていくのです。
 このセーフティーネットが初めて稼働したのが、ごみ屋敷の問題です。05年にこのルールができなければ、とても400件もの解決はできなかったと思います。
■おばあさん、いずこへ
 ごみ屋敷の問題で、行政機関や住民が協力し合って解決の仕組みをつくる経験をした私たちが、次につくった仕組みが「徘徊(はいかい)SOSメール」でした。
 きっかけは、2005年に豊中市社協にかかってきた1本の電話です。「老人介護者(家族)の会」の会員で、若年性認知症の60代前半のお母さんを介護している20代の娘さんからでした。「目を離している間に、お母さんが3歳になったばかりの孫を連れて行方不明になった。スーパーや公園を捜したけれど見つからなくて困っている」という相談でした。

以下、登録が必要な部分の要約です。

●数時間後に警察が2人を見つけて、ことなきを得た

●同じような問題がどのくらい起きているか大阪府警に聞きにいくと、当時、府内で1年間に徘徊などで亡くなる方が40人、行方不明のままの方が54人いると分かった

●この問題について06年秋に、「徘徊SOSメール」ができないか、という心づもりで、「ライフセーフティーネット」の課題にあげ、話し合いの場を持ったが、議論が紛糾した

●365日24時間対応でメールを発信を望む老人介護者と、業務時間内の発信を譲らない行政との対立があった

●行政は個人情報が分かる一斉メールにも難色を示した

●ないよりはある方がいいので平日の昼間だけでもやりませんか、個人情報は家族がどこまで出していいか選択できるようにしたらいいんじゃないですかと提案して合意にこぎ着けた

●この時に、公民協働のプロジェクトでお互いがゼロか100かを主張するとうまくいかないということを学んだ

●「徘徊SOSメール」には現在1200人の市民が登録し、捜索に力を貸してくれている

●2007年ごろになると、1996年に始まった小学校区単位での住民ボランティア活動が様々に花を咲かせた

●こうした取り組みは福祉研究者の注目を集め、全国から視察が相次ぐようになった

●そんななか住民と話が盛り上がり、「全国校区地域福祉活動サミット」というイベントを開くことを決めた

●予算がゼロなので、3千円の参加費をいただいて運営したにもかかわらず、サミットには1600人が集まり、うち半分は市外からで、沖縄を除く46都道府県の人が集まった

●住民主体の福祉の取り組みが認められて、市社協は09年度の日本地域福祉学会地域福祉優秀実践賞を頂いた