いちおう山口県民なので…・5

 これまで飯田氏を中心に見てきたのは、この4人の選択肢の中では、脱原発反自民・民主を掲げる飯田氏が、まあ、一番良いのかなぁと思いつつも、飯田氏には、なんだかなぁ…と思うところもあって、選ばない方がよい決定的な理由がないか見極めたいと思ったから。飯田氏が一番良いのかなってのは、自公に対しても、野田政権に対しても、これまでの政治を認めるようなサインを出したくないから。それなら、三輪氏という選択肢もあるけど、ちょっと、三輪氏は、情報が少なすぎるし、出馬の経緯が見えなさ過ぎる。でも、飯田氏が駄目だということになれば、もう、仕方ないので、三輪氏に投票しようかなぁとかも思ったりしている。
 …って、思っていたところに、今朝の朝日新聞の山口面の記事の中に、一文だけだけど、また、なんだかなぁ…ってのを見つけてしまった。「名古屋市河村たかし市長が応援にかけつけた」*1だって。おいおい、南京事件発言のことは覚えているんでしょ? 自分で呼んだの? 来るっていうから、ありがたく来てもらったの? 山口って、中国・韓国との友好関係って、他の都道府県にも増して、大切だと思うけど…。だいたい、そういう問題じゃないし…。科学畑の人が歴史修正主義者に応援してもらうって、どういうこと? なんか、最後まで、投票先で悩まされるな…。

 これも今朝の朝日新聞だけど、社会面には、飯田氏を「社民が支援し、共産も候補を立てずに間接的に支援」*2って書いてあった。今まで、社民・共産に関する情報を見つけられなかったから、どうなっているのか気になっていたんだよね。特に、共産党全労連系の組合がどう動くかってのが選挙結果を少し左右すると思うし、もしかして三輪氏って共産系?どうなの?って思ったりしてたから、共産党の動きが気になっていた。共産党は案外山口に根をはっているし、共産党関係者は組織的な投票行動をするしね。どうやら三輪氏は共産系ではないみたいだね。

 さて、山口県知事選の中心的な争点となるべきなのは、本当は、原発オスプレイよりも、地域経済の再生と、超高齢化の問題だと思う。原発オスプレイは、ふつう、誰だって認めるって堂々と言わないし、中央政府や財界の力で、決められる時には強引に決められてしまうから、争点にしても…ってところが、正直、ある。一方で、最近、光市や柳井市田布施町で、有力企業の撤退が相次いだ。それから、山口県は全国4位の高齢化県。これらの方が、県が主体的に取り組まなければならないし、創意工夫が求められることだ思う。でも、まあ、原発の建設予定地の上関は、光や柳井や田布施に近いんだけどね…。

 選挙公報を見ると、飯田氏が掲げるもので、これらの問題に関係するのは、『エネルギー維新』、『三つの教育改革』〈底上げ化・高度化・国際化〉、『緑の経済改革』、『子育て、福祉、就労支援』、『X次産業づくり』など*3。まあ、得意の再生可能エネルギーの分野などで、地域興しをしようってことなんだろうね。気になるのは、他のエントリーでも書いたけど、具体的な当てがあるの?ってこと。今までにその分野で築いてきた繋がりとかがあるのかな? 本当は、集会とかで質問してみた方がよいのだろうね。どなたか、その辺をご存知な方は、教えてくださいませ。
 教育改革については、他の候補者もまとめて書きたいことがあるので、また後で。

 山本氏は、「3つの底力で産業振興・雇用の創出を」とうたっている。3つってのは、「1 人財力」「2 港の力」「3 山口ブランド力」とのこと。人財力と山口ブランド力って、なんかピンとこないな。港は確かに山口の産業にとっては大切なものだね。まあ、建設官僚出身なんだから、この辺の整備と、それを期待する組織票が、やっぱり山本氏の特徴なんだろうね。

 高邑氏は、「『奇兵隊ファンド』設置で若者の雇用を生み出す」って掲げて、「地域資本の地産地消、国からの地方交付税に頼らない地域の経済的自立を目指す」とうたっている。まあ、地銀の山口銀行は、経営状態が良くて資金力もあるらしいので、そういうところに地域振興に協力してもらおうってことなのかな? これも、実際に当てがあるの?ってのが気になるところ。
 あと、どうやら出馬したことを政府に迷惑がられているみたい*4なのに、なんで、政府が喜びそうなことばかり言うのかな?って、すごく不思議に思う。この人、地方交付税に頼らないってこと以外にも、上関原発にこそ反対*5だけど、TPPに賛成*6だし、「社会保障と税の一体改革」に賛成*7だし、岩国への艦載機の移駐に賛成*8だし、オスプレイにも「受け入れざるを得ない」*9って言っているんだよね。
 それから、あと、「奇兵隊」って、もう、また出た〜って感じ。

 三輪氏は、「財政健全化を図りながら、『健康』『安全』『交流』のための事業に優先的に取り組み、『笑顔あふれる山口県』を目指」すってうたっている。まあ、医者出身だから、医療の体制整備を進めるってことなんだろうね。

 教育の問題について。なんか、この人たちの経歴が、地方の教育の課題を雄弁に語っていると思う。三輪氏以外はみんな、県内の公立校を優秀な成績で卒業して、都会の有名大学に進学して、そのまま都会で活躍している。で、政治に関わることになって山口に帰ってきたけど、知事になれなかったら、また、都会に帰ってしまうんじゃないのかなあ。まあ、仕方ないけどね。やっぱり、例えば東京に比べると、山口はいろんなものがなさすぎる。積極的な人ほど、一度は県から出て行ってしまうんだよね。だから、飯田氏の〈底上げ化・高度化・国際化〉ってのも、この流れを止めるものにはならないと思う。

 しかし、なぜ、山口は全国でもそんなに高齢化が進んだのだろうね。この辺を、朝日新聞はアンケートで4氏に、「なぜ若者が流出するとお考えですか? また、どのような少子高齢化対策を行いますか?」と聞いている*10
 飯田氏の回答。「少子化は、特に働く女性が子を産み育てる環境が改善されてないこと、本質的には生計や教育費の不安などがあり、それにはしっかり取り組む。若者流出は、いずれも創造的で魅力的な教育・雇用・街づくりをめざす。」
 山本氏の回答。「学びや働く場としての魅力の不足が若い世代の流失の要因で、この対応とともに、幼児医療をはじめとした子育て環境の整備、保健・医療・福祉のワンストップサービス化など利便性の高い高齢者対策を実施します。」
 ワンストップサービスって、知らなかったけど、いろんな手続きがまとめて1回でできるってことみたい。
 高邑氏と三輪氏の回答は、もう、省略。飯田氏、山本氏も含めて、みんなそんなに目新しいことは言っていないって感じるんだよね。まあ、4氏とも回答しているけど、やっぱり、雇用の創出が大切だよね。で、それをどうやって創出するかが課題なんだけどね。

*1:朝日新聞7月29日朝刊 山口面

*2:朝日新聞7月29日朝刊 社会面

*3:以下、各氏の政策は、他に脚注がなければ、選挙広報から

*4:http://d.hatena.ne.jp/suterakuso/20120727/1343411448

*5:朝日新聞7月21日朝刊 山口面

*6:朝日新聞7月20日朝刊 山口面

*7:同上

*8:朝日新聞7月21日朝刊 山口面

*9:朝日新聞7月21日朝刊 第2山口面

*10:朝日新聞7月21日朝刊 山口面