転載 (みをつくし語りつくし)勝部麗子さん:5

 第5回です。物語としては、この回の登録なしでも読めた部分が大きなクライマックスかなと思います。まずは、その部分の転載です。記事が掲載されていたURLは記録していませんでした。

(追記)この記事を紹介しているページに画像ファイルがあったので、下にそのURLを付け足します。
http://www.access-town.com/image/free/20161019121753.jpg

神田誠司 2016年10月19日12時22分
■コミュニティーソーシャルワーカー
■疲れ果て「仕事やめる」
 すこし個人的な話をします。小学校区のボランティア活動を強化する「小地域福祉ネットワーク活動」への協力を呼びかけて、地域を回り始めた1996年当時、私の子どもは0歳、3歳、5歳で、手がかかる時期でした。
 近くの保育所に空きがなかったので、隣接する池田市も含めて3カ所の保育所に預けていて、送り迎えだけでも大変でした。
 一方、ネットワーク活動への協力を呼びかける地域の会合は、ほとんどが土日か、平日の夜に開かれていたので、夕方にいったん仕事を終えて子どもを保育所に迎えに行き、家でご飯を食べさせてから夜の会合に出席するということもしばしばでした。
 ある日の夕方、保育所に迎えに行って、3人を乗せて自宅に帰る車の中で、「お母さん、もう仕事やめようと思うわ」って言ったことがあるんですね。
 地域の会合で協力を呼びかけても、「そんな人たちの世話まで住民に言われても困る」「自己責任じゃないのか」といわれて、私の思い描いている地域の助け合いは本当に実現するんだろうかと思うこともあったし、こんな可愛い子どもとの時間を犠牲にしてまでする仕事なんやろかって思ったりして。いろんな感情がたまって、噴き出した感じで。とにかく疲れ果てていました。
 すると、2番目の3歳だった息子が言ったんです。「お母さんが仕事やめたら、さみしいと思う人が増えると思うよ」って。
 日頃、「お母さん、どんな仕事してるの?」って聞くので、「一人で住んでるおじいちゃんやおばあちゃんがさみしくないように、みんなでご飯を食べたり。そんな仕事してるんやで」とか話してたからだと思うんですけど。その次男の言葉を聞いた途端、涙があふれ出して、私は号泣してしまいました。
■ひとりぼっちにしない
 「お母さん、もう仕事やめようと思う」って話したとき、3歳だった次男に「お母さんが仕事やめたら、さみしいと思う人が増えると思う」って言われて、ハタと気づいたことがありました。

以下、登録しなければ読めない部分の要約です。

●息子の言葉を聞いて、自分はひとりぼっちをつくらない仕事をしているということに気がついた(自宅でお年寄りの介護をしている人たちをつなぐ、障害者の作業所の共同店舗をつくる、ボランティア活動を強化して高齢者の見守り活動をする)

●同時に、こんな子どもたちといる大切な時間を犠牲にしてまで働いてるんやから、仕事は立派にせなあかんとも思った

●その後も何度もやめたいと思ったが、あの時の息子の言葉があったから、今まで乗り切ってこれたのかもしれない

●小学校区ごとの「小地域福祉ネットワーク活動」は、徐々に広がり、2001年にやっと市内全域で取り組まれるようになった

●様々なボランティア活動がスタートしたが、それにより地域に埋もれていたいろいろな課題が見えてきた

●小地域福祉ネットワーク活動のスタートにより地域の課題発見力があがり、これで大丈夫だと思ったが、あらたな壁にぶちあたった

●解決が難しい問題が多く見つかり、「一生懸命ボランティアやっても、なんにも解決せえへんし、忙しくなるだけや」という住民の声が聞こえてくるようになった

●ちょうどその頃に大阪府の地域福祉支援計画の策定委員になった

●話し合いで、「住民と一緒に問題の解決を目指す専門職がどうしても必要だ」ということを一番に訴えた

●他の委員からの賛同を得て「コミュニティーソーシャルワーカー」(CSW)が誕生する

●住民が問題を発見し、福祉専門職のCSWと住民が手を携えて解決をめざす仕組みが初めてできた